スペシャルティコーヒー
今、世界ではコーヒーの「おいしい基準」が確立されつつあります。
トレーニングを受け、客観的な味覚基準をもった審査員によって、ランク付けされています。
お米や肉にもランクがあるように、コーヒーにもランクがあるのです。
本当においしいと認められたコーヒーには、称号が与えられるのです。
すばらしい環境で大切に育てられたコーヒーの実は、最高の時機に摘み取られ、
その環境でしか育まれない風味特性を、しっかりと中に閉じ込めます。
フローラル、オレンジ、ベリー、バニラやチョコレート、キャラメルといった
際立った風味がスペシャルティコーヒーの特徴です。
上質な絹を一本一本 丁寧につむいだ織物のように、
さまざまな味わいが交差した複雑な香りと味わいは、飲む人を最後まで楽しませてくれます。
複雑な味わいの一方、飲み終わった後にはまとまりを感じさせ、
心地よい余韻がいつまでもやさしく包み込んでくれて、
まるで、美しい一枚の絵を見たような気持ちすら感じさせられることでしょう。
スペシャルティコーヒーのはじまり
1978年、フランスで開かれたコーヒー国際会議において、アメリカのエルナ・クヌッセン女史(Knutsen Coffee社)が、
"special geographic microclimates produce beans with unique flavor profiles"
『特別な気象・地理的条件がユニークな(特別な)香気を有するコーヒーを生む』=「スペシャルティコーヒー」 と提唱し、
このことが「おいしいコーヒー」を求め、生産地とのつながりを見直す動きとなりました。
「何がスペシャルティコーヒーなのか」という、世界的に統一された定義は、まだ確立されていません。
"from seed to cup"
「どうしたら美味しいコーヒーができるのか」という世界的模索のなかから、"from seed to cup" という答えが生まれました。
「コーヒーの生産(seed=種)からカップに至るすべてのプロセス」により、スペシャルティコーヒーがつくられるという考え方が広がりました。
"from seed to cup"の3つの考え
サステイナビリティ(sustainability) |
生産現場において、環境、社会問題、経済等を配慮することは、
品質の優れたコーヒーの安定的、継続的生産につながる
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クオリティ (quality) |
特別な地理的、気象的条件、栽培、生産処理技術による、
優れたカップクオリティを持っていること。
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インフォメーション(information) |
トレーサビリティ(traceability=生産履歴が追跡できる)はもちろんのこと、
コーヒーのカップの中のおいしさを消費者に正しく伝えること
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スペシャルティコーヒーの定義
2004年に、日本スペシャルティコーヒー協会より、スペシャルティコーヒーの定義について次のように発表されました。
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が
素晴らしいおいしさであり、消費者がおいしいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーのおいしさとは、際立つ印象的な風味特性があり、
爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えてゆくこと。
カップの中のコーヒーの風味が素晴らしいおいしさであるためには、
コーヒーの種子からカップにいたるまでの総ての段階において、
一貫した体制・工程で品質向上策、品質管理が徹底していることが必須である。
スペシャルティコーヒーの定義
弊社スペシャルティコーヒーの仕入れにご尽力いただいている専門商社ワタル株式会社では、
下記のようにスペシャルティコーヒーを定義しています。
特定の生産国の小地域、区画内においてもたらされ、その土地の気候、土壌、人の3要素によって構成される
テロワール / マイクロクライメット(微小気候)を表現し、魅力のある風味特性を持つコーヒーを
“スペシャルティーコーヒー”と私たちワタルは定義します。
スペシャルティーコーヒーの品質基準は、カップオブエクセレンスにおけるカッピングプロトコルに基づき、
無欠点かつクリーンカップであることを前提とし、ワタルにおけるカッピングにおいて
収穫後6カ月以内の検体の各項目の総和が80点以上であると認められること。
スペシャルティーコーヒーは生産から精製、流通まで一貫したトレーサビリティーが明確であること。
スぺシャルティーコーヒーは自然環境を尊重し、人道的な取り組みによって生産されること。
スペシャルティーコーヒーは標準的なコーヒーと一線を画し、品質に対するプレミアムが支払われて取引されること。
日本スペシャルティコーヒー協会の基本構想
下記に、日本スペシャルティコーヒー協会の基本構想を掲載いたします。
現在の日本市場では、長期的な景気低迷が続き、消費は低価格志向が強まっています。
しかし一方で、消費者ニーズの多様化がますます進み、コーヒーの分野でも高品質でおいしいコーヒー、
すなわちスペシャルティコーヒーへのニーズが高まっているのも事実です。
ところが、世界全体を見ると、コーヒー豆の価格低迷による影響で生産農家が苦境に立たされるなど、
良質なコーヒーを継続的に流通させるためには、生産から消費に至る安定した市場環境が強く望まれています。
もはや日本市場のみを単独で捉えるのではなく、
生産国も含めた世界的連繋活動から日本の今後のコーヒー市場育成を考えるべきであることは、言うまでもありません。
日本スペシャルティコーヒー協会では、日本のコーヒー文化とおいしいコーヒーをさらに普及、啓蒙していくため、
世界の関連団体と提携し、健全な日本市場の育成と消費の増大に重点をおきながら、
世界的なレベルでのコーヒー飲料・市場のさらなる醸成を図るべく、さまざまな活動を展開してまいります。
日本スペシャルティコーヒー協会は、
「スペシャルティコーヒー」に対する日本の消費者および世界のコーヒー生産者の認識を高め理解を深めます。
その栽培からカップのコーヒーに至るまでの体系的知識や技術の普及、啓蒙を図り、消費増大を目指します。
また、これにより日本の「コーヒー文化」のさらなる醸成、世界のスペシャルティコーヒー運動への貢献、
およびコーヒー生産国の自然環境や生活レベルの向上を図っていくことを、活動の基本構想とします。